ARETECO HOLDINGS/CMOBANKの代表取締役/高木健作のスペシャルインタビュー第4回はマーケティングの可能性や、マーケターが手に入れる事の出来る未来の選択肢について詳細に語って頂きました。
このインタビューは全5回の連載企画となっていますので、前の回をまだお読みでない方は是非、下記リンクよりVol.1から順番にお読みください!
- CMO BANK。それはマーケティングの真理を世に広げる日本一の場所。
- 日本の未来は、マーケターを求めてる。マーケターの価値がさらに高まる時代へ。
- 過去の失敗も成功も、すべて抱きしめて「いまここで、よく生きる」
- まだ知らない。マーケティングがいかに可能性に満ち溢れているのかを。(←本ページ)
- 今日も使命を果たす。CMO BANKの仲間が世界を前に進める、その日のために。
マーケティングで広がる
未来の選択肢。
─ マーケティングが大事ということはわかりましたが、学ぶことで私たちは結局どうなるのでしょうか。
マーケティングを学ぶことによって、ビジネスや仕事に関して選択肢がものすごく増えると思います。これが一番的を射た回答かなと。まず前提として、マーケティングはビジネスを行う上での“手段”です。ビジネスは需要と供給のことで「こんな需要に対して、このような供給をしたらいいのではないか」と考えることがビジネスの根本。そしてこの需要と供給をマッチングさせる活動がマーケティングだと思っています。
つまりビジネス自体にマーケティングの機能は絶対必要で、マーケティングの考え方やスキルがあるかどうかで、ビジネスの成功度合いや進み方がすごく変わります。なので自分がビジネスを立ち上げる場合は、作れるビジネスが増えたり、既にビジネスをしているのであれば、その成功確率を上げることができるということです。
もちろんビジネスという観点だけではなく、会社単位でもマーケティングは必須。会社に所属しているサラリーマンの方でも、仕事をするということは結局は何かのビジネスに関わるということなので、その時にマーケティングという機能は必要となります。ですからマーケティングを知っていることによって関われるビジネスがすごく増えると思います。
これまでもお話してきたように、ビジネスにおいてマーケティングはすごく重要であるにも関わらず、きちんとやれていない会社やビジネスがとても多いです。ですから、もしマーケティングがちゃんできる人になれたとしたら、どこもかしこも「手伝ってくれ」「うちに入ってくれ」と求める貴重な人材になれると思っています。そしてその中から自分がやりたいことや一番興味のあることを選んで、そのマーケティング業務ができるという、転職や部署配属という意味でも選択肢が広がる感覚があります。
またマーケターになる・ならないにしても、どんな職業になるにしろマーケティング的な考え方がやはり大事だと思っています。たとえば弁護士を想定した時に、マーケティングをわかっている弁護士と、わかっていない弁護士では、その人の弁護士としての価値はすごく変わると思います。仕事の取り方や生き方もかなり変わるかなと。マーケティングを知ってるだけで、どんな職業でも、どんな分野でもうまくいくというか、バリューを発揮できる機会が増えると思うんです。
このようにいろんな場面で「マーケティングがわかる○○」というのが重宝されると思います。たとえばマーケティングがわかるエンジニアなど。ビジネスを伸ばしたいと思っている人からすると、エンジニアがどれだけレベルが高くても、ビジネスの方向性・マーケティングに合っていないものを作っていたら意味がないんです。その点、マーケティングがわかるエンジニアだと、ビジネス上必要なものを考えながら作ってくれるだろうという期待があるので、採用する側も間違いなくそちらを選ぶのかなと。そういう意味でも自分の人生の中で選択肢が増えるんじゃないかなと思います。
ちなみに今後、CMO BANKが優秀なマーケター人材を増やすことで、逆に希少価値が下がってしまうのではという考えもあるかと思います。ただ世の中には思ったより優秀なマーケターがなかなかいない割に、すごく必要な人材なので、そう簡単には価値は下がらないかなと思いますね。
あなたは一流のマーケターになれるのか。
─ 経営者側が欲しいと思う「最高のマーケター像」の具体的なイメージを教えてください。
マーケターというのは、ちゃんと需要を捉えて、それに対して供給のコンセプトをきちんと考えてコミュニケーションできる人です。なので経営者から見た時に、自分たちが扱っている商品をどこに提供したらいいのか、どんな風に提供したらいいのかを提案できるマーケターはとても価値があります。
具体的なイメージとしては、経営者が「自分たちのビジネスはこういうものです」とマーケターに説明すると「では、このお客さんに対してはこういう手法で、このような提案をしていきましょう。そのためにこういったチームで、このスケジュール感でやっていきますね。そしたらビジネスがもっと伸びていくと思います。」という提案がある程度パッと言えるような人。これが僕の中で良いマーケターだなと思いますね。
ただこれは、いわゆるイケてるビジネスマンの像にかなり近いかなと思います。ですから「それは、なれるものならなりたいよ」と思う人がいるのではないかなと。自分にもできるのだろうかとか、自分もやるべきことなのか気になると思います。
まず誰しもができるのかという答えから言うと「できます」。ただレベル差は結構出そうな気はしています。マーケティングはスポーツと近しいなと思っていて、誰もがルールがわかってやり方さえ覚えれば一旦はできるんですね。テニスでもそうですけど、ラケットの使い方などを1日練習したらラリーとかはある程度できるようになると思うんです。
ただそこから一流になるかどうかとか、試合でどんどん勝てるようになるかというと、やはり差があると思います。それは筋肉や体力といった元々のポテンシャルもありますし、どれだけ練習するかというコミット具合にも関係してきます。つまり、大成するかどうかは差が出ますが、誰でもスタートは切れますし、大体のことはできるようになるということです。
ここでのポイントは「ないよりはマシ」という現場がたくさんあるということです。ある程度ルールややり方がわかっています、というだけですごく重宝されたり、その人がいるだけでビジネスがうまく進むということがすごくあるかなと。戦う市場やビジネスの大きさにも寄るとは思いますが、大成しなくても十分仕事はありますし、学んだことをうまく活用できるんじゃないかなという気がします。それくらい今の世の中にマーケティングができる人が少ないので。
もちろん僕らCMO BANKとしては、大成できる人、トップ1%になり得る人たちに頑張って教えたいと思っていますので、適性テストをするなどして受講する人を絞ってはいます。ただ誰でもマーケティングができるんですかという質問に関しては「できる」という答えになります。
世の中が必要とする何かを生み出し
“世界を前に動かす”という味わい。
─ マーケティングの面白みの部分を聞いてみたいです。「マーケティングのここが面白い、楽しい」というところは何でしょうか。
僕はマーケティングには、マクロとミクロの2つの目線での面白さがあると思います。まず1つ目はマクロ的な面白さ。それはマーケティングこそがビジネスを前に進めるということがわかってくると「自分自身のマーケティングの力で、いろんなビジネスを作っていける」という感覚を味わうことができる面白さです。
いろんなビジネスを伸ばしていけるとわかると、ビジネスへの関わり方がすごく楽しくなるんですよね。全体を把握しながら、マクロ目線でちゃんとビジネスを作ってる感覚があって。この世界を俯瞰して見て、必要なものをどんどん作って提供していく。そしてビジネスを通して社会に対して貢献し、世界を前に動かしている感覚を味わえるというのは、マーケティングの一つの魅力だと思いますね。
2つ目はミクロの、実務的な話での面白さです。マーケティングというのは最後の最後にすごくクリエイティビティが必要で、創作活動がアートに近い部分があるんです。ここで情報を集めたり、必死に考えたりしながら、何かを作り上げる、アートするという感覚が面白いんです。例えばキャッチコピーを作るという時も、できる瞬間ってAHA体験というか、これだと思う瞬間があるんですよね。
この“何かを生み出す”という創作活動はすごく楽しいものです。また生み出したものが、他の人にはできないような、自分だけの独創的なアイデアとなって大きな結果が出たりします。
マーケティングでは、この人間らしく何かを生み出している感覚、他の人にはできないような仕事をして、世の中になかったものを生み出す感覚を味わえる機会が結構多いんです。ただただ答えのあるものを解いている感覚ではなくて、答えのないところに何かを生み出しているような感覚を味わえるのがマーケティングの楽しみの一つだなと思います。
ちなみにマーケティングと聞くと、データ分析やフレームワークなどを緻密に考えて施策を打っていくイメージがあるかと思います。ただ僕からするとそれはマーケターというより「コンサルタント」に近いです。現状分析をして、それに対してボトルネックやレバレッジポイントを探して答えを出す。そういった、ある意味機械がやっても同じような答えが出ることをやっていくのはコンサルタント的な仕事だなと。ここはマーケターという言葉の定義の違いもあるかもしれないですね。
「左脳も、右脳も使いこなせる」
それが、マーケターの絶対条件。
─ 今まで高木さんが見てきた中で、こんな人がマーケティングをしたら面白い、ハマるというのはありますか?
一言でいうと「左脳も右脳も使いこなせる人」ですね。ただこれは面白いところでもあり、難しいところでもあります。マーケティングはめちゃくちゃロジカルに考えた後に、最後右脳的な発想が必要なので、その両方ができる人というのはマーケターにすごく向いてるなと思いますね。
なのでこれまで見てきた中でも、話していることは明らかにすごくロジカルですが、どこか創作することや何かを生み出すことに興味があるとか、そういう気質がある人はマーケターに向いてるなという感覚があります。
これが片方だけだとうまくいかないんです。ただロジカルに考える人だと良いアイデアや良い策は生まれないですし、ただ右脳的な、デザイン思考・発想力だけのパターンだと的を射た策にならないので。両方を使いこなせる人が良いですね。
ただ日本人は特に「自分は理系寄り、文系寄り」という自覚がある人が多く、両方を使いこなせるかどうかわからないという人が多いと思います。そういった人からすると「訓練してできるようになるのか」が気になるかなと。
その答えでいうと「訓練可能」です。今まで見てきた中で言うと、左脳的な人がビジネス、マーケティング界って多いんですよね。ロジカルに考えていくことはできるみたいな。でもそういう人たちって、ただ単に右脳的な使い方がわかっていないだけで、やり方を教えていくと「こういうことか」というのがわかります。そしてやり方さえわかれば、あとは練習だけなので誰でもできるようになると思いますね。やり方を知らないというだけのパターンがすごく多い気がします。
また“年齢”もあまり関係ないとは思います。年齢というよりは、やはり「学ぶ姿勢」が重要な気がします。これは経験則ですけど、今までのやり方とかにこだわっている人は、いくら教えても変わりづらいんですよね。それって結構大変だなという。
なので学ぶ姿勢さえあれば年齢は関係ないです。ただ年を取れば取るほど、今から全く新しいことを学ぼうという姿勢はなくなっていきやすいとは思いますね。
1回うまくいった人では、ダメ。
“再現性の高さ”こそが学びを変える。
─ 1つのビジネスで運良く当たるのと、複数のビジネスで当てるのとでは大きな差があるのでしょうか。
すごく良い論点だと思います。再現性高くビジネスをうまくできる人と、たまたまうまくいった人の間には、すごく差があると思います。これは起業家にしろ、そのビジネスに関わっていた人にしろ、そのビジネスがたまたまうまくいったのか、ちゃんと考えて再現性高くうまくいかせられたのかというのは重要な部分です。
マーケティングを学ぶと再現性高くビジネスにアプローチできるので、1回だけではなく、何回もうまくいかせることができる確率がすごく上がるんです。1回たまたま当たったという人はすごく多いんですけど、じゃあ何回も当てられる人がいるかというと結構いなくて。その辺をかなり大事にした方がいいと思います。1回うまくいった人の話というのはあまり参考にならないんです。
何回もビジネスを作ってうまくいってる人が話している再現性の高いメソッドを学ぶというのがすごく大事ですし、そういうマーケターになるべきだなと思いますね。
─ サラリーマンとしてハイクラスになっていくにしろ、起業するにしろ、マーケティングを習得すれば、かなりの確率で生涯年収が上がると言っても過言ではないでしょうか。
正直、マーケターは独立したら結構稼げちゃうんですよね。困ったことに(笑)。今まで僕の会社に来て、独立していろんな会社がうまくいってるんですけど、独立してやった方が儲かるじゃんって話には結構なりやすくて。
なので質問の答えとしては、サラリーマンをしていたとしても、起業するにしても、生涯年収は間違いなく上がります。ただマーケティングを使ってお金を儲ける方法はいくらでもあるので、あまり小さいことをして欲しくないなという気持ちがありますね。もっと面白い、広い考え方があるんじゃないかなと。
まだ知らない。マーケティングが
いかに可能性に満ち溢れているのかを。
─ 最後に、高木さんにとってのマーケティングの可能性を教えてください。
マーケティングを学ぶことによって今後の人生の選択肢は本当に増えていきます。これからビジネスを立ち上げようとしている人は作れるビジネスが大幅に増えますし、既にビジネスをしている人はそのビジネスの成功確率を格段に上げることができます。サラリーマンの方であればほぼ全ての会社にとって必要な人材になれますので、自分の行きたい会社や部署で自分のやりたいことや一番興味のあることを選んで、そのマーケティング業務をすることができるでしょう。
マーケティングを知っているというだけで、どんな職業でも、どんな分野でもバリューを発揮することができ、非常に重宝されます。しかも大成できるかどうかは人に寄りますが、たとえ大成しなかったとしても十分仕事はありますし、訓練すれば大抵のことができるようになるのがマーケティングです。起業するにしてもサラリーマンをしていたとしても、生涯年収は間違いなく上がっていくでしょう。
そして何よりも、マーケティングというのはとても面白いものです。情報を集め必死に考えたことで、世の中になかった新しい何かを生み出した時の感覚は他ではなかなか味わうことができません。またそれだけではなく、自分自身のマーケティングの力で世の中に必要とされているものを創り出し、社会に貢献し、世界を前に動かしている感覚というのは、より幸福感を感じますし、人生って豊かだなと感じることができます。
このようにいかにマーケティングが可能性に満ち溢れたものであるかを知らない人が本当に多いのです。ですからこのCMO BANKを通じて、一人でも多くの人がこのマーケティングの可能性、面白さに気づき、学び始めてくれたら嬉しいなと思いますね。
高木健作 プロフィール
株式会社ARETECO HOLDINGS 代表取締役
株式会社CMO BANK 代表取締役
1988年兵庫県生まれ。大阪大学 経済学部(中退)
大阪大学在学中にマーケティング支援事業で起業。2013年にはSingaporeへ移転。月間5,000万PVメディア事業立ち上げ。
その後、旅行メディアを株式会社DeNA、美容メディアを株式会社ベクトル(子会社)へとそれぞれ事業売却
現在起業家 兼 エンジェル投資家 として11社の創業に携わり、2019年3月より株式会社ARETECO HOLDINGS 代表取締役に就任。同年、株式会社CMO BANKを立ち上げ代表取締役に就任。